水耕栽培とは、土を使わない、水だけを使う栽培方法。
というのが、ざっくりとした説明です。
が、実際にやってみると水耕栽培と言ってもいろんなやり方、いろんな理屈、いろんな道具があります。
わたし自身、水耕栽培を始めたときはいろんな方のブログやサイトを見たり、図書館で本を借りたりもしましたが、いろんな情報がありすぎて、逆に混乱してしまいました。
そこでこのページでは、水耕栽培を楽しむために知っておきたい最低限の知識についてまとめてみます。
水耕栽培は最低限これらの要素が必要
水耕栽培は、基本的には以下の要素が揃っている栽培方法を指します。
- 作物(そりゃそうだ)
- 作物を支える場所
- 培養液を入れる場所
- 適切な光、温度、空気の流れ
「作物」と「適切な光、温度、空気」については、土の栽培でも同じことですね。
水耕栽培で特徴的なのは、「作物を支える場所」と「培養液を入れる場所」が必要な点。
当サイトで紹介している方法は基本的に、「作物を支える場所」と「培養液を入れる場所」が別になっているタイプの栽培方法です。
たとえばペットボトル容器だと、飲み口部分が「作物を支える場所」で、根っこが浸かっているところが「培養液を入れる場所」。
食品保存容器を使った栽培でも、スポンジを入れる穴があり、そこが「作物を支える場所」で、下の容器本体が「培養液を入れる場所」です。
一方、「作物を支える場所」と「培養液を入れる場所」が一体になったタイプの栽培方法もあります。
というか、普通の土栽培だと、そういうことです。作物は土に埋まっていることによって支えられ、土に栄養も入っていますよね。
水耕栽培の場合でも、培養土を使わず、「バーミキュライト等栄養のない土+培養液」の組み合わせで、土栽培のような見た目の水耕栽培にすることができます。
また、スポンジ培地と言って、スポンジ自体に根を張らせて、スポンジ自体に培養液を吸わせるスタイルもあります。
ベビーリーフ栽培は、これに近いスタイルです。
ただ、ある程度成長して根がスポンジの下から出てきたら、スポンジの下のスペースを「培養液を入れる場所」にして、スポンジは作物を支えるだけの場所に分けるように、培養液の量を調整するのがわたしのやり方です。
「作物を支える場所」と「培養液を入れる場所」を分けるほうが、わたしは衛生管理がしやすいと感じているため、そのようにしていますが、人それぞれ好みのスタイルがあると思います。
育てる作物の種類
水耕栽培で、どんな植物でも育てられる! というのはちょっと難しいかもしれません。
作物によっては水耕栽培にあまり向かないものもあります。
特に屋内水耕栽培の場合は日光の量が少なくなるため、大量の日光を必要とする作物(トマトなど夏野菜系)は難しいです。
また、じゃがいもやごぼうなんかも、多分できないんじゃないでしょうか?
ラディッシュやこかぶぐらいであればできるようですが、ちょっと難しいです。培地を使った栽培だと成功すると思います。
逆に、水耕栽培で育てやすいのは、リーフレタス全般、アブラナ科の葉物野菜、シソ科(大葉やバジル)です。
ハーブ類だと、パセリ、タイム、ローズマリーなどは育てやすく、なぜかパクチーは育てにくいです。
このように、作物によって難易度が異なりますが、装置を工夫したり、屋内ではなく屋外栽培にすると成功したりもするので、試行錯誤しながら挑戦してみるのが楽しいかなと思います。
屋外栽培と室内栽培の違い
当サイトは「まどべじ!」という名前で、窓辺で植物を育てることをテーマにしています。
つまり室内栽培がメインなわけですが、屋外で育てる場合とは、けっこうな違いがあります。
- 室内のほうが日光が圧倒的に少ない
- 室内は風がない
- 室内だと温度管理ができる
- 外に出なくても管理できる
日光はとても大事
室内栽培が外と圧倒的に違うのが、光の量です。
室内って、意外と光が少ないです。「いや、うちの南向きの窓、めっちゃ日が差し込んでかなり眩しいよ?」って思う人もいるかもしれませんが、それでも、室内の光の量は外に比べると全然少ないです。
だって、普通、窓にはカーテンをつけていますよね、レースのカーテンを。
我が家にも南向きの出窓があるのですが、照度計で計測したところ、晴天時でも5,000ルクスとかでした。曇っているときはせいぜい2,000~3,000ルクスです。
一方、真夏の直射日光がどれぐらいかというと、なんと10万ルクス!曇りのときでも数万ルクスはあります。
外と中では、これだけ光の量が違うんですね。
室内水耕栽培で育てやすい野菜で紹介したレタスは、比較的少ない光量で育つ(5,000ルクス程度あればまあ育つ)のですが、逆にトマトなんかは、5万ルクスとか7万ルクスとかでよく育つ野菜らしいので、室内では難しいんです。
ただ、室内でも「レースのカーテン」を工夫すれば、十分な光量を確保できます。一番は、カーテンをなくすこと。一気に数万ルクスの世界に行けます。
もし遮光性のあるレースカーテンを使っているなら、それはかなり、水耕栽培的にはまずいです。カーテンをなくして目隠しシートを貼るほうが光量が増えるかもしれませんし、いろいろ試してみてください。
風は適度にあったほうがいい
外との大きな違いがもう一つ、それは空気の流れ。風です。
室内でも、人が通ったり、エアコンの風があったりするから空気は動いていますが、外に比べると全然動いていません。
作物も光合成や呼吸で空気が必要ですから、新鮮な空気がつねに周りにないとだめです。
あと、空気の流れが悪いとスポンジなどの培地にカビが生えやすくなったり、虫が繁殖しやすかったりといったこともあります。虫は、室内のほうがもちろん少ないですが、空気が滞っていると増えやすいです。
わたしは、サーキュレーターを使って空気の流れを作っています(日中だけですが)。
家にいる時間だけでもサーキュレーターを付ける、なるべく窓を開けて換気する、などの工夫をするほうが、植物にとっては良い環境になります。
室内温度にあった栽培
温度も、外の中では違います。作物にはそれぞれ適切な発芽温度や栽培温度があります。
室内の場合、基本的に人間が快適な温度にしていますが、人にとって快適な温度は、植物にとってもなかなか快適な場合が多いです。
外では栽培できない時期でも室内では栽培できる、ということも多いです。わたしはレタスや葉物野菜は通年栽培しています。
外で育てるときほど温度を気にしなくていいのは、室内栽培の魅力です。
外に出なくていいのはラク
わたしが個人的に一番の魅力だと思うのが、外に出なくていいこと!
室内でお世話ができるので、真冬や真夏でも快適ですし、蚊や蜂を恐れることもないです。
パジャマですっぴんのままでもお世話ができます。
これは、高層階のベランダとかなら同じかもしれませんが、一戸建ての庭など、人の目がある場所に住んでいると、大きなメリットになります。
節約志向の水耕栽培
水耕栽培にはいろいろなやり方がありますが、ひとつの方向性としては、節約志向、低コスト系の水耕栽培という方法があると思っています。
当サイトで紹介しているのは、基本的にお金のかからない、節約志向の水耕栽培です。お金をかけない代わりに、多少手間がかかっても仕方ない、収穫量はそこまで期待できない、というのがデメリットになります。
とはいえ、お金をかけずに、身近にあるものを使った始められるのは大きなメリット。
お金がかかるといえば肥料ぐらいで、それでも数百円で買えるものですし、あとは家にある容器だったり、100円ショップで手に入るアイテムを少し買うだけで水耕栽培ができます。
水耕栽培キットのような商品もいろいろ売っていますが、そういったものを高いお金を出して買っても、正直続くかわかりませんよね。
まずは低コストで始めてみて、自分の性格や生活スタイルに合うようなら徐々に投資していけばいいのではないかと思っています。
お金をかける水耕栽培なら
逆に、お金をかけておこなう水耕栽培もあります。まず簡単なのは、水耕栽培キットのようなものを買って設置すること。
数万円かかっても、必要な設備が一式揃っており、手軽に栽培できて、確実に収穫量も増えます。
あとは、これは男性に多い気がするのですが、本格的な水耕栽培装置を自作する方向性もあります。これはお金も手間もかける方向性ですね。
設備としては、LED照明、エアレーション(培養液に入れるぶくぶく)、培養液を循環させるためのポンプなど。
わたしも、基本的にハンドメイド等ものづくりは好きなので(でも電気の難しいこととかはわからないので)、簡単な装置を自作して使っています。
LED照明とエアレーションは設置しており、それらをタイマーで管理しています。サーキュレーターも、タイマーで自動化してます。
お金は、初期費用に加え電気代もかかるようになってきますが、趣味として考えれば安いものかな、とわたしは思います。
水耕栽培を始めてみてハマった人は、いろんなサイトや本を調べたりもして、装置の自作などにも挑戦してみると楽しいはず。
もちろん、当サイトで紹介しているような、簡単で低コストな栽培方法を極めるのも素敵です。わたしもまだまだ途中ですので、今後も精進したいと思います。