ペットボトルを使った水耕栽培は、初心者の方にまずおすすめしたい栽培法です。
本格的な装置がなくても、ペットボトルを切るだけで水耕栽培装置が作れます。
今回はレタス栽培を例に、わかりやすく丁寧に解説しますね。
ペットボトル栽培では、このほか、バジルやパセリなど、少しずつ収穫して使うタイプのキッチンハーブを育てるのもおすすめですよ。
バジルと同じシソ科の、シソ(大葉)もおすすめ。
当ページは、写真たっぷりで詳しく解説したページなのでものすごく長いです。以下の目次を活用して、素早く必要な情報にアクセスしてくださいね。
ペットボトル栽培のために用意するアイテム
ペットボトルで水耕栽培をするために必要なアイテムはこちら。
- ペットボトル(なるべく大きいもの)
- アルミホイル
- ペットボトルカバー等
- 食器用スポンジ
- 空き容器
- レタスの種(苗でもOK)
- 水耕栽培用の肥料
- つまようじorピンセット
- カッターナイフとハサミ
- セロハンテープ
以下から詳しく説明します。
ペットボトル(なるべく大きいもの)
ペットボトルは、なるべく大きいものを用意してください。
500ml以上のサイズであればひとまずOKですが、大きいものほど安定感があり、レタスが大きく育ち、なおかつ長く収穫できます。
アルミホイル
アルミホイルはご家庭にあるものを使っていただければOKです。
カラーホイルや黒のホイルなども売られていますが、銀色のオーソドックスなアルミホイルをおすすめします(少しでも光を反射させたほうが植物の育成にとって良いため)。
ペットボトルカバー等
培養液に光が当たると、藻が生えてきます。見た目が悪いのと、生育にも悪影響があると言われているため、遮光しましょう。
ペットボトルカバーを使うなら、中にアルミシートが入っている「完全遮光」のものがおすすめです。
大きなペットボトルだとペットボトルカバーを用意するのが難しいかもしれません。
その場合は、アルミシートで覆ってもOKです。
わたしは麻紐で編んだこんなカバーも使っています。完全遮光ではありませんが、意外としっかりと遮光できています。
食器用スポンジ
わたしのおすすめは、食器用ネットスポンジです。表面のネットは取り除いて、中だけ使います。
色は、明るい色がおすすめ。少しでも光を反射させて光の量を増やしたいからです。
お風呂用のスポンジでもいいです。ただし、メラミンスポンジ(激落ちくんなど)だけはスポンジの素材が異なるのでNGです。
スポンジはドラッグストア、100円ショップ、ホームセンターなどで手に入ります。
空き容器
スポンジを入れるための容器を用意します。スポンジが入ればなんでもいいです。
レタスの種(苗でもOK)
「レタス」には大きく分けて「結球レタス(玉レタス)」と「リーフレタス」があり、今回育てるのは「リーフレタス」です。
結球レタスは栽培が難しいのですが、リーフレタスはかなり簡単です。
リーフレタスにも「サニーレタス」「フリルレタス」など種類があり、焼肉のときに食べる「サンチュ」も、リーフレタスの仲間です。
リーフレタスの種はダイソーでも売っていることが多いですし、園芸店やホームセンターの園芸コーナーで簡単に入手できます。
また、苗から育てる方法もあります。
園芸店やホームセンターの園芸コーナーでリーフレタスの苗を購入し、それをペットボトル容器に定植して育てる方法です。
苗から育てる方は、手順【3】の苗の定植から読んでくださいね。
水耕栽培用の肥料
水耕栽培用の肥料は、土に使う普通の肥料とは成分が違います。
ちなみに、普通の肥料を水耕栽培に使うのはおすすめしませんが、水耕栽培用の肥料は普通の肥料としても使えます。
もし余ってしまっても、プランターなどの植物に使うことができますし、そもそも有効期限などもなく長く使えるものですので、ぜひ揃えてみましょう。
水耕栽培用の肥料としては「ハイポニカ」と「微粉ハイポネックス」が定番です。
「ハイポニカ」は液体肥料で、A液とB液を混ぜ合わせて使います。こちらを使っている人のほうが多いイメージがありますが、大容量(500mlサイズ)なので、初心者の方にはちょっと荷が重いかも。
「微粉ハイポネックス」は粉末の肥料で、少量(100g)でも売っているので、初心者の方がとりあえず買うとしたらこちらがいいかな、と思います。出費も抑えられますしね。
このページでは、微粉ハイポネックスを使って説明しています。
つまようじorピンセット
種をまくのに、あると便利なのがつまようじかピンセットです。わたしはつまようじを使っています。
どちらも、100円ショップやホームセンター、ドラッグストアなどで手に入ります。
カッターナイフとハサミ
特に解説不要かと思いますが……。アイテムの加工などに使うので、準備しておきましょう。
セロハンテープ
こちらも特に解説は不要ですね。
↓水耕栽培に必要なアイテムはこちらでも紹介しています。
ペットボトル水耕栽培の手順【1】容器の準備
それでは、ペットボトル容器を使ってレタスを育ててみましょう。
必要なアイテムを揃えてから作業を始めるとスムーズですよ。
また、作業前には手を洗うか、使い捨て手袋をして、衛生管理に気を付けましょう。
ペットボトルを切って切り口を保護する
ペットボトルは、飲み口から4分の1~3分の1ぐらいの位置で切ります。
カッターナイフを使いますが、いきなり強い力を入れると、歪んだり、ケガの原因にもなります。
はじめの1センチぐらいを、表面をなでるようにスッスッと何度か刃を当てると、切込みが入ります。
そこからゆっくりと切っていくと失敗しにくいです。また、切込みさえ入れば、あとはハサミを使っても切れます。
切り終えたら、切り口が危ないので、セロハンテープで保護しておきます。
こうやって重ねて使います。
アルミホイルを取り付ける
飲み口側のパーツに、アルミホイルを取り付けます。
培養液に光が入ると藻が繁殖するため、アルミホイルで遮光するわけです。また、アルミホイルの反射によって光の量を増やし、植物の生育を助ける狙いもあります。
アルミホイルは、パーツの高さと同じ長さ×パーツの周囲をぐるりと1周できる幅を用意します。
パーツとアルミホイルをずらして、切り口側にアルミホイルが数cm余るように巻きます。
アルミホイルをペットボトルに沿わせるように、手で包み込んで密着させます。
切り口の余ったアルミホイルを内側に折り込みます。
これで完成です。
ペットボトル水耕栽培の手順【2】種まき
いよいよ種まきです!
スポンジを2.5cm角に切り、切込みを入れる
食器用スポンジをネットから取り出し、縦2.5cm、横2.5cmにカットします。
ダイソーやセリアで売っている一般的な大きさのネットスポンジであれば、15等分でちょうど良いサイズ感になります。厳密には、2.6cm×3cmになりますが、だいたいで大丈夫です。
表面に切込みを入れます。深さは3mmぐらい。カッターナイフでスーッとなぞると簡単に切れます。
すべてが必ず発芽して順調に育つとは限らないので、スポンジは4つほど作っておくのがおすすめです。
余ったスポンジはジッパー付き保存袋に入れて、また別の機会に使えるように保管しておきます。
空き容器に水を入れ、スポンジに吸水させる
空き容器にスポンジと水を入れて、指で押してしっかりと吸水させます。
スポンジが水でひたひたになっているぐらいが目安です。
種をまく
種をまきましょう。
今回は、スポンジ1つに、2粒の種をまきます。
つまようじの先端を濡らすと、簡単に種がくっつきます。
つまようじの先端を使って、スポンジに種を埋めましょう。
レタスは深く埋めると発芽しづらいため、ごく浅く、種が透けて見える程度にしてください。
窓辺に置く
種まきが終わったら、明るい窓辺に置きましょう。
芽が出るまでは、スポンジの表面が湿った状態をキープしてください。霧吹きを使うのも良いです。
ラップをかけてもいいですし、透明のフタがあれば、そのフタを使ってください。
レタスは好光性種子(こうこうせいしゅし)と言って、発芽に光を必要とする野菜なので、明るい状態を保ってくださいね。
ペットボトル水耕栽培の手順【3】苗を定植
芽が出てきたら、ペットボトル容器に定植します!
買ってきた苗を定植する場合は、ポットから出して、土をできる限り落とし、さらに根を水洗いします。ほんの少し土が残っていても大丈夫ですが、なるべく丁寧に土を落としてください。
根が伸びてきたらペットボトル容器に定植
レタスは、早ければ1日ほどで芽が出てきます。芽が出てくると、下からは根が伸びてきます。
根が伸びてきたらスポンジをひたひたにする必要はないので、根が水に浸かっているかどうかだけ気を付けてください。
根が5cm以上伸びてきたら、定植できます。目安としては、種まきから1週間~10日ほどです。
2粒まいて2つとも発芽した場合は、小さいほうを間引いてください。
ペットボトル容器の、飲み口側のパーツに、レタスを定植します。
飲み口の部分に、スポンジをはめこむようにします。
このとき、根を挟んだり、根が切れたりしないように、慎重に作業してくださいいね。
培養液を入れ、カバーを付ける
水耕栽培のための培養液を作りましょう。
今回使用する「微粉ハイポネックス」は1000倍に薄めて使うので、水1Lに対して1gです。
ペットボトル容器で直接作っても良いですし、別の容器で培養液を作ってから、ペットボトル容器に移してもOKです。
培養液の濃度が濃すぎたり薄すぎたりしないように、なるべくきちんと計量しましょう。
別の容器(ペットボトルでもOK)で作る場合、フタつきのものなら、水と肥料を入れてシャカシャカ振ると簡単に培養液が完成します。
微粉ハイポネックスは完全に溶けきることがないと思いますが、特に問題ないのでそのまま使ってください(使用しているうちに徐々に溶けだしていくそうです)。
ペットボトル容器に入れる培養液の量ですが、「根がちゃんと浸かり、なおかつ根の上のほうは空気に触れている状態」を目安にしてください。
植物の成長には水や栄養だけでなく空気も必要なので、培養液を入れ過ぎないように注意してくださいね。
あとは、遮光のため、ペットボトルカバー等を付けたら、定植の作業は完了です!
今回はダンボールをまきつけました。適当な大きさに切ったダンボールをセロハンテープで留めただけです。
ナチュラルな風合いで、意外と悪くない。
余った培養液は冷蔵庫で保存してもいいですが、1週間ほどで使い切るのがいいような気がしています。
ペットボトル水耕栽培の手順【4】日々の管理
ここからは、日々の管理です。
培養液の補充、入れ替え
苗が小さいうちは、培養液はほとんど減りません。ただ、1週間も2週間もそのままにしておくと雑菌が繁殖したり、培養液中の酸素が不足したりして作物に悪影響が出ます。
夏は1週間、冬でも2週間を目途に、培養液の入れ替えをしましょう。
苗が大きくなってくると、培養液の減りが激しくなります。毎日培養液を半分以上補充するぐらいであれば、こまめな入れ替えはしなくても大丈夫です。
バジルやシソの場合は摘芯する
バジルやシソは、レタスと違ってどんどん上に長く伸びる作物です。
株を高くしすぎず、横に広げて充実させるために「摘芯」をおこないましょう。
摘芯とはてっぺんを切ること。そうすることで脇芽が伸びて、収穫量が増えます。
草丈20cmぐらいになったら上から2番目か3番目の節の上で、カットします。
カットした先端部分は、水に浸けておくと数日で根が伸びてきて、これをさらに水耕栽培やプランター栽培で育てることもできます。
ペットボトル水耕栽培の手順【5】収穫と保存
レタスが大きくなったら、いよいよ収穫シーズンです!
下の葉から収穫する
レタスが十分な大きさになってきたら、収穫できます。種まきから2か月ほど、冬でも3か月ほどで収穫サイズになります。
ちなみに、種まきから約1か月後の様子はこちら。
葉が10枚以上になれば、もう収穫スタートしてOKです。
一気に刈り取ってしまってももちろん良いのですが、下の葉から少しずつ収穫することで、長期間収穫できます(かきとり収穫と言います)。
指先で葉の根元をちぎって収穫します。
葉が5~6枚ほど残っていれば、また1週間ほどで収穫サイズにまで育ってくれます。
10日後、またこんなに成長しました。
約2か月間ものあいだ、毎週収穫できますよ。
すぐ食べない場合の保存方法
せっかくの室内水耕栽培なので、食べるタイミングで収穫するのも良いですが、すぐに食べない場合は、冷蔵庫で保存しておきましょう。
長持ちさせたいなら、キッチンペーパーでつつんでおくのがおすすめ。
容器にキッチンぺーパーを敷き、洗って水のついたレタスをそのまま入れ、上からもキッチンペーパーをかぶせておくと完璧です。
わたしは葉物野菜の保存はこの方法でおこなっていますが、2週間ぐらいもちます。
撤収後の片付け
収穫を繰り返すうちに、茎が伸びて、こんな姿になっていきます。
茎が伸びすぎて不安定になったり、成長が鈍化してきたりしたら、すべて収穫して、撤収しましょう。
また、「トウ立ち」と言って、気温や日照時間の変化により花が咲くこともあります。花が咲いたら味が落ちるので、栽培終了となります。
ペットボトル容器は、きれいに洗えば繰り返し使うこともできますが、ペットボトル自体は繰り返し使用することを想定して作られているわけではないので、2~3回使用したら処分するほうが安心かと思います。
根とスポンジは燃えるごみとして捨てます。スポンジ部分だけ取り除いて、根はコンポストにしても良いです。
まとめ
ペットボトルを使った水耕栽培は、初心者にも手軽に始められるのが魅力。
ただし、ひとつの容器につき1株しか育てられないので、せっかくなら長く楽しめる作物を育てるのが良いですよね。
今回紹介したリーフレタスや、ほかにはシソやバジル、パセリといった「ちょこちょこ収穫して使いたい」タイプのキッチンハーブを育てるのにもオススメです。
ぜひ、お気に入りの野菜を育ててみてください。
工作の要素もあるので、お子さんと一緒に取り組むのもおすすめですよ。
↓水耕栽培に必要なアイテムはこちらでも紹介しています。