水耕栽培では、土の代わりに培養液を使って植物を育てます。
土のように水やりをすることはありませんが、その代わりに、培養液の補充や交換が必要です。
このページでは、水耕栽培の培養液管理の方法について、詳しく紹介します。
培養液を入れる量の目安
培養液の量は、多いほうが安心です。特に、作物が大きくなってくると培養液の吸い上げ量も増えるので、枯れてしまうことがないよう、たっぷり入る容器を選んでください。
容器のどこまで培養液を入れるかですが、「根がしっかり浸かる・根の上のほうは空気に少し触れている」ぐらいを目安にします。
根も呼吸しているので、空気が不足すると根腐れしてしまいます。
培養液の吸い上げ量が増えてきたら、たっぷり培養液を入れてもすぐ空気に触れられるようになるのでたっぷり入れても大丈夫です。
しかし苗が小さいうちは培養液がなかなか減らないので、少し空間を作ることを意識して、培養液を入れましょう。
培養液を足すときの目安
培養液が減ってきたら、補充します。
はじめのうちはほとんど減らないので、補充する機会はありません。
また、少し減ったからと言ってすぐに補充するのもおすすめしません。
前述したとおり、根も呼吸しているので、空気に触れる必要があります。
培養液が半分以上なくなったぐらい、根が半分以上露出するぐらいになったら、補充しましょう。
作物が大きくなってくると1日でほとんどの培養液を吸い上げてしまうこともありますが、そのときはいつもよりたっぷりめに補充します。
培養液がすっからかんになってしまうのはだめですが、逆に、常に満杯にしておくのも、生育にとってはよくありませんので、残量を見ながら補充してくださいね。
作物が小さいうちは培養液を毎日混ぜる
作物が小さいうちは培養液が全然減らないので補充する必要がないのですが、補充しなくても、フタを持ち上げて容器と根を揺すって培養液を混ぜましょう。
根は培養液に含まれる養分を吸収していますが、そうすると、根の周りの培養液だけ、養分の濃度が低くなっていきますよね。培養液中の酸素も薄くなっているはずです。
そこで、毎日混ぜるんです。混ぜることによって養分や酸素が根の周りに行き渡ります。
混ぜる際には、フタを上下させることで根も上下させ、空気にたっぷり触れさせるような感覚で混ぜると良いような気がしています。
培養液は定期的に交換する
培養液は継ぎ足すだけでなく、定期的に全交換することをおすすめします。
交換頻度は1週間から2週間、と言っていますが、基本的には1週間に1回は交換してほしいです。特に夏はこまめな交換が必要です。
培養液を交換するときは、残っている培養液をすべて捨て、それから新しい培養液を注ぎます。
1か月~2か月に1回は、容器自体も一度洗い、清潔にしてから新しい培養液を入れるのがいいですよ。
培養液を定期的に交換する理由は2つあります。
- 雑菌が繁殖するのを防ぐため
- 養分のバランスが悪くなるのを防ぐため
まず雑菌対策。水は、そのまま常温で何日も置いていたら次第に菌が繁殖するはずですよね。雑菌が繁殖すると植物の生育に支障をきたす可能性があります。衛生管理の一環として、培養液の交換を行います。
そして、栄養バランスの問題です。水耕栽培の培養液は専用の肥料を希釈して使っていますが、継ぎ足しているうちに、そのバランスがどうしても崩れてきます。
植物は、水分と養分をバランスよく吸収しているとは限らないからです。水分の吸収が多い場合は培養液中の養分濃度がどんどん濃くなっていきますし、逆に養分の吸収が多い場合は薄くなっていきます。
培養液の濃度は薄すぎても濃すぎてもだめなので、定期的に培養液を交換して、栄養バランスをリセットしてあげる必要があるわけですね。
ただし、もしECメーターをお持ちであれば、濃度についてはECメーターで計測して判断すればよいです。※ECメーターとは、肥料濃度を測るための機械のこと。
余った培養液の保管について
いくつも水耕栽培をしている場合、大きな容器でまとめて培養液を作るのが効率的です。
でも、作った分が余ってしまうことがありますよね。
余った培養液は、冷蔵庫に入れて保存すれば、1週間ぐらいは問題ないかと思います。
使う際にはある程度常温に戻してから使います。
長期間の保管はやめたほうがいいでしょう。やはり、いくら冷蔵庫で保管するとはいえ雑菌が繁殖しますからね。
水耕栽培用の肥料は土で栽培している花や野菜、観葉植物などにも使えるので、ご自宅にそういった植物があれば、その子たちに余った肥料をおすそ分けするといいと思いますよ。
培養液の管理は、土耕栽培の水やりと同様、意外と奥が深いところがあります。住宅の環境によって、季節によっても変わります。
試行錯誤しながら、最適な補充ペースや交換時期を見極めてくださいね。